祝!南部、益川・小林先生ノーベル賞受賞
日本の理論物理学、素粒子論でノーベル賞間違いなしと言われていた南部陽一郎氏、小林・益川理論の両先生などに今年のノーベル賞受賞が決まりました。http://www.kek.jp/ja/index.html
30年前、私が物理学教室に入ったのは坂田先生が亡くなったあとですが、その気風ははっきり残っていました。物理学教室憲章があり、講座制を廃止し研究室は教授も技官が互いに役割を尊重されていました。建国記念の日は「科学的でない」という理由で物理学科では授業が行われていました。
私たち実験系の学生はまだまだコンピューターも簡単には使わせてもらえない時代に、宇宙線観測の実験を手伝いにあちこちに連れて行ってもらいました。中津川のトンネルや乗鞍の実験室などにも連れて行ってもらいました。小柴先生のスーパーカミオカンデは宇宙線望遠鏡の最先端でした。今活躍されている名大の福井先生なども常に最先端の観測をされています。しかし、観測装置にはつねに技術的な限界があります。
一方で、理論系の方はさらにずっと先を行っていました。湯川、坂田先生など日本の理論物理は最先端を行っていました。今回の南部・小林・益川先生の受賞は当然とはいえ、日本の理論物理の水準の高さを再確認したと思います。基礎科学に力をいれてきたからだこそだと思います。
私たちのように、学生に自由にいろんな研究や体験をさせることは少なくなっているようです。30年たった今でも宇宙物理の最先端のニュースにはいつも関心をもって本を買っています。これは私だけではありません。しかし今、当面の目先の利益・成果にとらわれ、基礎科学を軽視する傾向が強まっていると言われます。小柴先生はこのことを指摘しています。今回の受賞がこの傾向の歯止めになればと思います。
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