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2020年9月22日 (火)

介護保険計画にパブコメ提出

介護保険法施行規則の一部を改正する省令に反対します。

私は名古屋市の総合事業で生活支援A型の事業に従事しています。この間厚労省は、通常型の「介護予防」には医師の意見書を必要とするなど認定要件を厳しくしました。そのため移行当初に比べ通常型利用者は毎年千人ずつ減っています。いっぽう 「サービスA」は事業所報酬が「介護予防」の8割程度と低いため、受け入れる事業所が少なく、名古屋市では昨年度通常型とA型、さらに住民主体の支えあい方を合計しても前年を下回っています。国の調査でも「介護予防」と「サービスA」の合計利用者数は減少しています。(厚労省「調査結果の概要」20.04.27

そのうえで第一号事業の対象者の弾力化にはいくつもの問題があります。

①相次ぐ事業者の撤退

 一番の問題は総合事業の報酬単価が低いため、事業者が集まらないことです。介護大手のニチイ学館のように要支援から全面撤退した事業者もあり、それまでの利用者が放り出されました。生活支援には「拒否要件」が課されていません。総合事業への移行にあたっては利用を継続していた事業所でも生活支援A型の新規利用を断っている事業所も少なくありません。省令案では「サービス価格の上限の弾力化」とありますが、財政力の乏しい自治体では改善は見込めません。

②従事者が集まらない

 各県内の最低賃金は同一ですが、介護報酬は級地によって1割程度の格差があります。低い市町村では最低賃金ぎりぎりです。地域、事業所によっては1回が45分のみに限定されていたり、移動時間が無給のことも多く、実質は最低賃金以下の場合も少なくありません。なかには月額報酬ではなく1回単位の報酬となっている自治体もありますが、この場合には利用者のキャンセルがあると報酬が払われず、従事者が無給となる自治体もあります。
 生活支援A型は市町村の行う研修修了者が従事することになっていますが、研修にはきても実際に働いてもらえる従事者が集まらないという自治体が少なくありません。
③さらなるボランティア化

生活支援A型は「主に雇用労働者」となっていますが、シルバー人材センター頼みの地域もあります。B型以後の「住民主体の事業」では有償・無償のボランティアになっています。第8期計画では予防介護と生活支援A型の改善について全くふれられていません。担い手確保対策は「元気高齢者等参入促進セミナー」「ボランティアポイント」と「地域住民が共に支えあう地域づくり」になっています。まさに「自助と共助」頼みで「公助」はありません。

④利用者本人の希望というごまかし

 昨年度は要介護1・2の生活支援を介護保険から総合事業に移す案が猛反発をうけたために今回は「本人の希望を踏まえて」という文言を盛り込みました。要介護になると利用料が上がることを心配して総合事業の継続を希望する利用者がいるかもしれません。しかしこれでは必要な介護が利用できるかどうか「カネ次第」となってしまいます。医療にはこのような規定はありません。問題は利用者負担が高いことです。
⑤生活支援にも労働者としての保障を

第8期介護保険計画指基本針案では 「介護人材確保のためのボランティアポイントの活用、地域の支え合い・助け合い活動のための事務手続き支援事業等の活用により、ボランティア活動や就労的活動による高齢者の社会参加の促進など、地域の実態や状況に応じた様々な取組を行うことも重要である。」とされています。これは 「高齢者雇用安定法」の「ただし」書きで一定の要件を満たせば、「就業確保措置」でもよいとしたことを受けたものです。そのなかで⑤委託契約あるいは、⑥事業主が実施もしくは委託、出資等する社会貢献事業での有償ボランティアとなっています。⑤⑥は雇用と並列させる選択肢ではなく、委託契約だけでもよいことになっています。

しかしボランティアや個人委託では最低賃金も労災保険も適用されなくなります。支援中や移動時のケガやコロナ感染の補償もありません。

⑥保険あって介護なし

今回の「弾力化」によって要介護者までもが市町村の総合事業の対象となり、自治体財政が赤字になれば自治体は利用者を減らさざるを得ません。都市部でも地方でも自治会・町内会の役員なり手が不足している今日、事業者もボランティアも集まらなければ利用者のサービスが打ち切られかねません。
 国は介護予防によって介護の重度化を遅らせることができるとしてきました。しかし、このようなやり方で総合事業を実質利用できない制度にしてしまえば、まさに「保険料だけあって介護なし」です。Hata2009203 Chu200922 Hata2009202

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