岡崎市介護保険事業計画パブコメ提出
私は日常生活支援について研究し、愛知県内各自治体の状況を調査しています。 第8期介護保険事業計画基本指針では地域包括ケアシステムの拡充が重視されています。岡崎市においても2019年10月から総合事業のなかで生活支援型訪問サービス(訪問型サービスA)が本格的に開始されました。しかし、ニチイ学館など企業型の事業所が要支援者への生活支援を廃止するなど事業者の撤退が相次ぎました。 岡崎市の事業計画では「実施可能な法人や団体に対して積極的に働きかける」としていますが、なぜ事業者が少ないのかについては全く触れられていません。 私の調査では岡崎市の要支援・事業対象者は約4570人に対して、2020年4-6月のA型利用者は116人程度にとどまっています。コロナの影響があったとはいえ、利用できる高齢者の数に対して3%未満できわめて少ない利用者数です。
他の自治体でも共通しますが、事業者が生活支援A型の受け入れを断るのは一人当たり報酬の少なさと必要費用が大きいためです。
岡崎市では訪問型サービスA型のサービス責任者(単独運営)は介護福祉士等の有資格者で常勤となっています。そのため大半が現行介護事業所の職員が兼務することになっています。 従事者は賃金労働者、シルバー会員等の講習受講者となっていますが報酬は1単位10円で、1時間程度で1回230単位となっています。これでは1回の訪問で2,300円にしかならず、従事者が集まらず、初任者研修修了者(ヘルパー)派遣をするためには事業所が負担せざるをえません。高齢者によるボランティア頼みでは必要な専門性にかけ、長期的には期待ができません。 1回単位の報酬ではキャンセルがあった場合には無報酬となります。要支援の方は病院など出かける機会も多く、休んだとき利用料を払わなくてもいいのでキャンセル率が高くなります。
基本政策の展開では介護人材の確保が書かれていますが、上記の問題点について全く触れられていません。
コロナ禍の中で自宅にこもる高齢者が多くなり、要介護度の重度化が報じられています。生活支援は週一回の掃除や買い物ですが、高齢者のなかにはこれが唯一外部との接触の機会という方もいます。「あったらいい」程度の支援ですが、曜日も覚えられない利用者にとっては生活リズムをつくることにもなります。 今後も支援を必要とする高齢者は増えていきます。予防に力を入れることが、介護保険財政にも重要です。岡崎市の積極的な検討を期待します。
介護保険の要介護度が進んだ場合などに出す区分変更申請の件数が全国的に急増していることが31日、時事通信の調査で分かった。専門家は新型コロナウイルス感染を恐れた高齢者が外出や施設利用を控えたことで、身体機能に悪影響が出ている可能性があると分析。(時事通信20200101)
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