〇○○でもわかる物価偽装
名古屋高裁判決まで一カ月となる10月30日、シンポ「〇〇〇でもわかる『物価偽装』のカラクリ」が開催され、全国からも含め、マスコミ・支援者など37名が参加して、デフレ調整など厚労省の生活保護物価指数の間違いを勉強しました。昨年5月の熊本地裁から11地裁で勝訴、そのうち9地裁がデフレ調整を違法としています。①算定期間を08年~11年に
従来は05年、10年と5年おきにしていた算定期間を、この10年間に一度だけ物価が上がった08年とし、期間を3年間にしたことです。その結果2.8%下がりましたが、それ以外の年からにすれば1%程度しか下がっていません。 ②計算式を変更
しかし、これでは自民党の公約に追いつきません。そこで厚労省は08-10年の生活保護物価指数(CPI)の計算方法を変えました。従来は08年の購入割合に物価の変動率をかけて10年の物価指数を計算する方法(ラスパイレス指数)を使いますが、今回だけは10年の購入割合に08年からの変動率をかけて08年の物価指数を計算しました(パーシェ指数)。2010年から11年は従来のラスパイレス指数を使っています。名古屋学院大の阿部教授は後にも先にもパーシェ式を使ったのはこの時だけということを指摘しました。算定期間内に違う計算式を使い、品目も変わっています。
③テレビ・PCの割合が倍増
2010年には地デジ化を目前に日本中でテレビの買換えがありました。この間のテレビ購入割合は通常の年の5~6倍となっています。価格もこの2年で大幅に下がりました。パーシェ指数では生活保護世帯は08年にも高いテレビを買ったことになっています。
厚労省はPCの性能が二倍になると価格が半分になったことにする「品質調整」も適用しました。実際にはPCの購入価格はあまり変わりませんが、物価指数の計算では大幅に下がったことになります。
この結果TVとPCだけで3ポイントほど生活保護物価指数が下がったことになります。
④生活保護利用者の生活実態とかい離
しかし、生活保護利用者には総務省から地デジチューナーが配布され、ほとんどの利用者は買い替えていません。ましてや08年に高いTVを買った人などほとんどいません。これはケースワーカーが証言しています。PCもほとんどの人が買い替えていません。これは明確な物価偽装による統計不正です。
引き下げ理由のすり替え
負けが込んできたため国側は引き下げの理由を「リーマンショックにより一般世帯の消費水準が落ち込んだため」と言い換えてきました。しかし当時の厚労省は国会で「(平成)20年と23年、同じような生活を生活保護受給者の方がした場合、同じような生活水準を維持していただくため」と答弁しており、一般世帯との比較はしていません。全くのすり替えです。
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