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2025年4月29日 (火)

訪問介護「調査結果」の問題点

「まさかの訪問介護報酬引き下げ」から1年が経ちました。この間に訪問介護事業所の倒産廃業が相次ぎ、414日のNHKクローズアップ現代は「家で介護が受けられない!? 〜迫る“訪問介護 危機」と報じました。厚労省は47日「2040年にむけたサービス提供のあり方中間まとめ」(案)を提出しましたが、これでは全く不十分です。

施設訪問と居宅訪問を一緒にして「平均」10

 「クロ現」で指摘されたように、国は移動時間のかかる居宅訪問とサ高住など大きな施設だけを回る施設訪問を一緒にして訪問介護の利益率が7.8%と高い黒字率になっているとしました。しかし、実際には右図のように4割が赤字事業所で、その大半は月400回以下の小規模事業所です。
 国は処遇改善加算をとればいいとしましたが、小さな事業所では事務作業にも手がかかり、物価高騰のなか採用のための高い紹介料もかかり賃金にまわせません。そのため介護職員不足による廃業が相次ぎました。
 31 「中間まとめ」にむけた調査報告書(概要)では中山間地と都市部など地域による違い、訪問の集合住宅への割合による収支差率(利益率)の分布などの資料を出しましたが、いずれも利益率が高いところと低いところがあって、利益の減少は「訪問回数の減少により、小規模な事業所を中心に収入減となっている」というものでした。
 資料について当方から厚労省への「同一建物減算を受ける住宅型訪問の方が収支差率が断然高いということでいいか」という質問には「断然高いとまで表することは困難と考えています」という回答でした。

そこでさらに詳しい「調査報告書」(第30回社会保障審議会介護給付費分科会参考資料2)を見ました。30 たぶん、このことだと思います。(図30https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50970.html

しかし訪問に要する移動時間(図表2122)を見れば、同一建物とそれ以外の移動時間には大きな差があることは明確です。地方でも大都市でもこの傾向は大きく変わりません。
いっぽう介護報酬は介護時間と回数で決まり、訪問にかかる時間には付きません。事業所の規模にも関係ありません。一回45分とか60分という介護時間に対して8分で移動できるか27分かかるかは訪問回数に大きく影響します。
そこで、改めて図表20を見ると集合住宅の利用者の割合が80%以上の事業者の移動時間が極端に短いことがわかります。サ高住に併設し、同一法人運営の訪問介護事業所などにあるパターンです。5割が移動時間15分以内になります。
21 22_20250429142601 20

 しかし、これでは地方の小さな事業所か都市部の大規模事業所かわかりません。同じ80%以上でも、地方で老人ホームを訪問し、他は地域訪問には30分かかる場合も含まれているかもしれません。

28では中山間地でも都市部でも高利益の事業所があると同時に赤字の事業所が一定の割合であります。実はNHKクロ現が指摘したように東京・大阪でも倒産廃業が続出しています。「まとめ」にあるように国は小さな事業所を合併などで減らす方針です。しかし、大手介護事業者が点数の低い介護予防や生活支援から撤退するなか、地域住民に求められる支援を担っているのはこれらの小さな事業所でもあります。2829

29を見ると2001回以上の事業所はほぼ全て黒字になっています。しかしどれだけ同一建物を訪問しているのかはわかりません。図31では集合住宅の利用者が80%以上の事業所でも赤字がありますが、その規模はわかりません。

それはこの調査が前出「(4)調査研究事業」に小さく書かれているように最初から「※本調査は、主として「中山間・離島等」、「都市部」、「それ以外」の3つの地域におけるサービス提供の実態等の傾向を明らかにすることを目的として実施するものであり、必ずしも訪問介護事業所全体の傾向を把握するものではない。」ためで、集合住宅訪問のみで高利益を上げている実態には目をつぶっているからです。
 訪問に時間のかかる居宅訪問での倒産が相次ぐ原因を明らかにするためには図29の平均常勤職員数を示すこと、図2031の平均訪問回数別に示すなどの分析が必要と考えます。31_20250429142901

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